嘘つき!
嘘つき!
嘘つき!
圭介のバカっ!
嘘つき…。
あたしは圭介の事、信じてたのに…。
ねぇ、圭介?
嘘つき
「圭介のヤツっ!!」
「?」
「あ、さんっ!聞いてくださいよっ!!」
「はいはい。うるさいから。ちょっと静かにしなさいよ、。」
「はーい!」
さんは、部活の先輩。陸上部の100m選手。圭介の幼馴染なんだって。信じられないんだけど…。こんな綺麗なさんと嘘つき圭介が幼馴染だなんて。
圭介ってのは、元・彼氏の山口圭介。一方的だったかな?ってちょっとだけ思うけど、別れた。圭介が浮気をしたせいで。
「で?圭介が嘘ついたって?」
「そうなんですよっ!それがまた、女の人と歩いてたって言うんですよ!」
「歩いてた?女の人、ねぇ。」
さんは面白そうに笑う。
「笑い事じゃないですよっ!」
RRRRR RRRRR
「あ、ゴメン。あたし、電話だわ。」
さんはそう言って携帯電話を取り出して話を始めた。
「もしもし?あぁ…うん。うん。…うん。知ってる。うん。バカだよねぇ、あんたも。ちゃんと謝りな?まぁ、ね。あたしもそれなりに悪かったんだけどね。ほら、かわってやろうか?」
さんは、話が終わったのかあたしに携帯電話を差し出す。
「え?あたしですか?」
「そ。出てごらん?もう、あたし話は聞けないけど。」
「もしもし?」
『?』
「圭介…?」
『ゴメン、。誤解…なんだ?』
「今更なに!?」
耳から遠ざけた携帯電話。通話を切るボタンを押そうとした。
「ダメだよ、。しっかり圭介の話を聞いて。あとでさ、あの駅前に新しく出来たケーキ屋の食べ放題連れて行ってやるからさ!」
「マジっすか!?それって…おごり!?」
「わかったよ。おごりね。」
「よっしゃ!んで圭介何?」
電話の向こうから軽くため息が聞こえた。
『俺ってケーキより、より下?』
「当たり前でしょう。今あんたとあたしは何の関係でもないの。」
『嘘ばっか。お前は俺の元カノだし、俺はお前の元カレだろ?ちゃんとした関係じゃん?』
「…そうね。で、話って?」
嘘つきは嫌い。
あたしはだまされやすいの。
悔しいの。
嫌なの。
嘘なんて大嫌い!
だから圭介の事は好きだったけど、今は嫌い。
『お前が見たあれさ、相手誰かわかってる?お前の目の前のやつなんだけど?』
「え?目の前って、さんしかいな…え?さん?」
「ゴメンねー、。あの日圭介と買い物行ったの。」
「嘘だ…」
『俺は嘘つかねぇって。お前が嘘嫌いなの知ってるし、な。』
「じゃあ…あたしの」
『勘違いだわな。』
「最悪…。」
『やり直し、って出来る?』
「…出来るよ。」
じゃあ、と圭介は言った。
静かに静かに間をおいて。
『やりなおそ。』
「うん。」
圭介は、よかった、と言った。ありがとう、とも。
「さん…ありがとうございました。」
「いいのよ。あたしもちょっと悪かったしね。」
「さん?」
「ん?」
「ケーキ、行きましょう?」
「OK!仲直りしたからがおごってくれるんでしょ?」
「約束が違います!圭介とあたしのお祝いに!いかがです?」
「負けた!おごる!」
「よっしゃぁ!」
走り出した。
圭介?嘘つきは、あたし嫌いよ?
でも、嘘つきを直してくれるんだったら、あたしいいわ。
どんなでも圭介が好き。
嘘つきな圭介は嫌い。何度も言うわ。
それでも…あたしは圭介が好き。
嘘をついたなら、嘘を挽回してちょうだい。
圭介なら許してあげられる気がするから。
さんにも感謝しよーね、一緒に。
また3人でどっか…行こーね。仲良く、恋人と仲良しの友達3人で。