スコッセロ -SUCOSSERO-
ズー達がノースガッケンを出発したころ、スコッセロではある事件が起きていた。
その首謀者はイムという男で、ズーと同じ能力に突然目覚めた者だった。
だが、イムは能力をおさえきれず暴走させてしまっていた。
これを脅威と感じたスコッティズ軍、少尉のダルバは駐留軍に討伐を命じた。
しかし、あえなく返り討ちにあってしまった。
これを聞いたダリアは、イムを仲間にすべく幹部のタナ(♀)とルチア(♂)をスコッセロに向かわせていた。
3日後・・・
ズーたちは街の入り口に立っていた。
だが、看板は傾き、人の気配もまったくしていなかった。
さすがのバッカスも
「一体この街に何が起きたんだ・・・!?」
と驚きを隠せずにいた。
「とりあえず、中に入ってみましょう。」
ウカの提案で、3人は中に入ってみる事にした。
すると中央の広場に人が傷だらけで倒れていた。
「あれは・・・タナ!?」
ウカが言う。
「ウカ・・・バッカス・・・やられたわ・・・。」
タナというこの女、ウカよりも多少年上のような声をしていた。
「タナ、何があった?説明してくれ。」
バッカスがタナに聞く。
「3、4日前、この町のスコッティズ軍は全滅したわ。1人の能力者によって・・・。」
「バカな・・・!この街には100もの兵がいたはず・・・。」
バッカスはいつもの冷静さを失っていた。
「能力者の名前はイム。今、ルチアが戦って・・・。」
そのとき、コツコツと足音がして、やがて1人の男が現れた。
右手には怪しげな杖を、左手にはぐったりした子供を抱えながら・・・。
「ルチア!!」
ウカは仲間の名前を呼んだ。
しかし抱えられた子供はピクリとも動かない。
「マズイな・・・。ズー、俺とウカで奴をひきつけるからそのすきに『アニマル』でルチアを助け出して欲しい。」
バッカスはさらに続けた。
「タナ、お前は休んでいろ。」
「・・・わかったわ。それと、あいつは妙なものを出してくる。ズー・・・って言ったっけ。あなたの『アニマル』のように・・・。」
「どうしてオレの能力を・・・?」
知っている?そう聞こうとした時、バッカスが銃を抜きながら叫び、ズーの言葉を遮った。
「その話はあとだ!ウカ、ズー、いくぞ!」
こうして、まるでゴーストタウンのような場所での戦いは始まった。
初めての能力者相手の戦闘に、ズーは戸惑っていた。
イムの能力は『ゴースト』。
霊や悪魔などを操れるらしい。
最もこの事はタナのおかげでわかったのだが。
銃弾はすり抜け、ウカの能力、『ウインド』で切っても元通りのゴーストたちにさすがのバッカスたちもてこずっていた。
「仕方ない・・・。アレをやるぞ、ウカ。」
「わかりました。でも手加減しないと、また前みたいになっちゃいますからね。」
アレ、といいうのが何なのかはわからなかったが、なにやらバッカスに秘策があるようだった。
ズーは、
「チーターよ、その脚力でしかるべき時にあのルチアという子を救ってくれ・・・!」
とだけ呟き、戦いを見ることに集中していた。
バッカスは、色の違う特殊な弾を取り出た。
あれが・・・バッカスの秘策?
ズーは思っていたのとあまりにも違っていてビックリしていた。
「もっと炎とかゴォって出すのかと思ってたのに・・・。」
思わず愚痴をこぼしてしまったが、黙ってみようと自重した。
「ハァァァァ・・・食らえ!フレイムショット!!」
バッカスが叫んだ瞬間、放たれた弾は途中で燃えてゴーストを消滅された。
「今だ!ウカ!」
ウカはルチアに傷を負わせないように、イムの腕に狙いを定め風を放った。
風の刃は腕に傷を負わせただけだったが彼の腕の力を抜けさせるには十分だった。
「チーター!!」
ズーが叫ぶとチーターが現れ、その背中にルチアを乗せ、戻ってきた。
すると、それとほぼ同時に、なぜかイムが倒れてしまった。
「え・・・?致命傷は負わせてないはずなのに・・・。」
信じられない、と言ったウカに対して、
「能力を使いすぎただけだ。」
とバッカスは言ってのけた。
「しかし、疲れてる奴もいる。イムと話すのはまた明日だ。今日は休もう。」
無人の宿屋でズーたち6人は休んだ。
まるで、今日の戦いを忘れようとしているかのようにぐっすりと・・・。
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