「何…?」







世界中のどこかで…。







「なっははー!おっはよー、っ!」

「…はいはい、おはよーござーます、日生クン。」



俺は日生光宏って言って、コイツが

俺の好きな人で、今一番の仲良しってヤツ。

まー、恋人未満友達以上…って微妙な関係って言っちゃ、微妙な関係。

んで、俺は今本気でにアタックしてるつもりなんだけどなー。

は一向に振り向いてくれる素振りなんてこれっぽちも見えない。

ってか、気づいてるっていうか、鈍感なんだろうな、アイツ。

俺的にはもっと早く…なんて後悔してる部分だってあるんだ。

いっぱい、いっぱい。

俺はまだ未熟者だし、にコレ!ってことなんて全然してやれてない。

ましてや、ちゃんと『好き』だなんて言ってない。

友達なんかはそれでもいい。なんていうけど、俺はよくない。

好きな人に言ってやれる最高の言葉をに言ってやりたい。

それが今、俺の一番の願い―――――



「ねぇ、日生…」

「ん?から話しかけてくるなんて珍しー!雨でも降るのか?」

「…っ!」

「悪い、悪い!」

「付き合って欲しいんだけど…」

「…は?」

「今日、放課後…ね。」

「あ、あぁ。そういうことね。いいぜ?」

「ありがと。待ってるから。」



今までで、こんなコトなかったのになぁ…。

だってどうしたかなぁー?なぁ、

俺のコト、どう思ってる?

男?友達?それともただの…クラスメイト?

どうすっかな…俺、告白するべきだと思う?

アイツは気づかないんだよ、絶対に、な。



「ごめんね、急に。」

「いや、いいけど。」

「時間大丈夫?」

「あー、平気、平気。」

「スタジアム…」

「へ?」



歓喜で満ちたでっけぇスタジアムには花火があがって、光があふれていた。



「行こ。」



が指さすのは、あのスタジアム。

今日って確か…。

日本の…



「試合、見たいっしょ?」



が言うには、今日行われる『日本×○○』のチケットを持っているらしくって、それがたまたま余っている、ということで俺を誘ってくれたらしい。



「ウチの兄ちゃんがさ…選手なのよ。だから、ね。」

「マジで!?もしかしてさっ、って、優選手!?」

「そう、だけど…」

「マジ知らねかったー!すげぇ、すげぇ、すげぇ!!俺すっげぇファンなんだよ、選手!なぁ、!あわせて欲しいんだけど?」

「あー…いいよ。どうせならウチ、泊まりにくれば?兄ちゃん今日はうちに帰ってくるし。」

「マジでっ!?ホントにいい?」

「だから別にいいって。」

「もう、サンキュー!マジ大好きー!」

「……」



は黙ったけど、俺は重大なことを告白したことを忘れ一人浮かれていた。

俺のことを嫌いじゃない。

でも好きでもない。

そんなのわかんない。

けど、俺は信じてるからな、





「うっわ!マジすげぇ、すげぇ!俺代表の試合って初めてなんだけどっ!」

「そう…。よかったね。」

「うん!マジ感謝だって!サンキュー!」

「いいよ、別に。余ってたのもらっただけだし。」

「だって、こんなにいい席なんだぜー?すげぇよ、やっぱさ!」

「わかんないよ、あたしは。別に余ってただけ…」

「俺さー…」



そうして俺たちは語り始めるんだ。

小さく小さく呟いてちゃ聞こえない、まわりの歓声を受けながら。

それはまるで俺等を応援しているかのようにも思える。

俺等は、いつまでも続いていく。

この歓声が世界中のどこかで続いている以上、俺は、が好きなことをずっとどこかで伝えているから。

だから、気づいて…。