さぁ、始めよう。
君のための君だけのパーティ。
Present for you
「おはよー、カズ君!誕生日おめでとー」
「・・・」
引かれましたか、あたしは・・・。
「ねぇ、カズ君!」
「何じゃ?」
「そんな冷たくしなくってもいいじゃん?」
「そんなん関係なかばい。」
「冷たい・・・。」
カズ君こと功刀一くんの誕生日が、今日、この日なわけです。
ちなみにあたしの誕生日も今日!
カズ君と同じ日に生まれちゃいましたー。ってことなんすよ!
記念すべき15歳の誕生日は、天気は晴れらしいっすよー。
よかった、よかった。やっぱ、晴れが一番だよね!
「。」
「んー?」
「はよ、こい。」
「・・・うんっ!」
いつものように呼んでくれて、一緒に教室まで行く。
付き合ってるわけじゃない。
ただ単に、友達なだけ。
まぁ、巷で言う、友達以上恋人未満、ってとこですね。
あたしが思ってるだけだと思うけど。
別に恋愛感情がないってわけじゃないんだ。
だって、恋愛感情がないんだったら、誕生日だって祝わないし、覚えてもないとあたしは思う。
「カズさーん、カズさーん!」
カズ君は、呆れた顔をしてる。
一体何がどうしたのかって言うと、もう一人あたしと同じように煩い方がいらっしゃるわけでございますよ。
「お誕生日おめでとうございます、カズさん!」
「ありがとじゃけんど、ショーエイ。」
「何ですか、カズさん。」
「もう少し静かに出来んとかね!!」
「す、すんません・・・。でも、今日は先輩より・・・」
「何よ?」
「げ、先輩、いつからそこにおったとですか?」
「アンタが来るずっと前。」
「見えんかったとで・・・痛っ!何するとですか?」
「煩い、ショーエイ。」
いくらあたしが身長低いからって酷いっすよ、酷すぎる!
確かに、カズ君と並んだら、低くみえるし、ショーエイと並んだらもっと低く見えるよ?
でもさ、そんな普通に言うなんて・・・ねぇ。
全く、酷いったらありゃしない。
「ねぇ、カズ君。」
「何じゃ?」
「欲しいもの、ある?」
「別になかとじゃけど・・・」
「ちぇっ、まだプレゼント買ってないから何が欲しいか聞こうかと思ってたのにー。」
まだ買ってない・・・半分嘘で、半分ホント。
渡そうか渡さないか迷ったままのプレゼント用に包んである帽子。
カズ君に似合うかな、ってそんなことを考えながらかった。
もし、渡さないのなら、あたしが使う、ただそれだけの帽子になるかもしれない。
でも、やっぱりカズ君にって買った帽子だから、カズ君に被って欲しい!
あたしが被っても意味がないの!
「カズ君!」
大声のすぐ後にカズ君と横に居たショーエイがあたしの方に振り向く。
少し前を歩いてた二人をちょっとだけ止める。
「何か用か?」
「カズ君・・・あのね、やっぱり、これ。もらって欲しいんだ・・・。」
そういって鞄の中から取り出したのはあの帽子。
カズ君の為に選んだあの帽子。
「帽子・・・?」
「うん。誕生日、いつもカズ君帽子被ってるしさ。オメデトウ。」
緊張して感情の込め方がいまいちわからない。
この後だって、あたしが緊張しすぎてどう反応していいかわからない。
気まずくなるだけだと思う。
「それだけだから。オメデトウ、カズ君。」
それだけなわけないんだけど、暫くは届かない。
あたしの“好き”って気持ち。
だってあたしがいきなりこんな態度とったら、怒るでしょ?
嫌いになるでしょ?
ねぇ、そうでしょ・・・。
バイバイ。そう言ってあたしのこの想いともさよならできればいいのに・・・。
バイバイ。たったこんな一言でさよなら出来る想いだったらよかったのに・・・。
バイバイ。君への想い、消えちゃえばこんなに考えることもないのに・・・。
バイバイ、バイバイ、バイバイ。
君へさよなら。
「、!どこ行くっちゃ、お前は!俺んとこ、こんのんか!」
「はぁ?」
少しの間から、ぷつっと切れた沈黙。
「俺は、が欲しか!」
「は?何言って・・・」
「帽子も嬉か。ばってん、俺はが欲しか。」
「カズ君・・・。」
いつのまにあたしはこんな気持ちになってたんだろう?
バカだね、ホント。
「!?」
「大好きっ」
にししっ、って笑いながら抱きついてやると、カズ君は吃驚してるし、横に居たショーエイはポカンと口をあけてる。
大好きだよ、ずっとずっと。
バイバイなんてまた会える時に使おう。
バイバイ。また明日。
「誕生日おめでとう。」
「え!?」
「おそぅなっとったけど、オマエも今日誕生日っちゃけん。」
「覚えてて・・・くれた?」
「当たり前ばい。俺はそんな簡単に忘れんとよ。」
「ふふっ、そうだね。」
「大好き。」
それが最高の君からのプレゼント。
そしてあたしからのプレゼント。
大好き。
Present for you!
&Happy Birthday!
ずっとずっと大好きだよ。