クリスマスツリー、見たい?

クリスマスの1週間前に聞かれた。

見たいよ、

そう言ったら

見に行く?

って言うから、

緊張して夜も眠れない日が続いたよ。

でもあなたと2人じゃないってわかった瞬間

あたしはきっと酷い顔してただろうな。

落胆した、睨み付けるような顔。

あなたに見られたかもしれない、

いつもそれを気にした。

話が出来なくなった。

でもあの輝くクリスマスツリーの前で聞いた一言は本音なんですか?




クリスマスツリー




、クリスマスツリーって好き?」

「・・・え?あ、うん。好き。」

聞かれたのはクリスマスの一週間前の今日。

いきなりあの、水野くんに聞かれるんだから驚くに決まってる。

水野竜也くんは、うちのクラスのサッカー部。

この桜上水中の女子の中でかっこいいと思った事のない人っていない。

それくらいかっこいい人。

「よかったらさ、クリスマス、一緒に行かないか?」

「・・・う、うん。行く!」

気が付けば『行く』って返事してた。

だけど、あとになって気付いた。

水野くんが呼んだのはあたしだけじゃないんだね。




!ちょっと聞いてよー。」

、どしたの?」

「さっきさ、風祭くんと佐藤くんに会ってさ。一緒にクリスマスツリー行く約束しちゃった!」

「そうなんだ?サッカー部のみんなで?」

「うん、そうよ。だから、あんたの好きな水野くんも来るんだって。」

「・・・あたし、水野くんに誘われたよ。」

「へぇ?そうなんだ、やったじゃん!」

水野くん、どうして二人じゃないの?

あたし、てっきり二人だと思ってたのに。

一緒に・・・クリスマスツリー見るの、楽しみにしてたのに。

「あ、水野くん!」

が叫んで、初めて気付いた。

水野くんが、そこにいたということに。

だけど、・・・さっきの見られてないよね?

あたし、さっききっと酷い顔してたもん。

水野くんと二人きりじゃないことに、落胆してた。




「今日、天気よくてよかったよね。」

「ホンマやわ。天気よぉなかったらなんも見えへんし。」

「シゲちゃん、メンバーってあとは?」

「せやなぁ、あと水野だけなんとちゃう?」

当日、待ち合わせ場所に行くともうたちは来ていた。

佐藤くんたちと楽しそうに会話をしていた。

「悪い!」

「タツボン、ちょいと遅いんとちゃう?」

「悪かったって言ってるだろ。」

「まぁ、ええわ。ほな、行こか。」

ここから少し歩いた場所にクリスマスツリーがある。

今日の目的はそれを見に行くこと。




、ごめんな・・・。」

「え・・・?」

ツリーの前に来て、水野くんが言う。

たちはそれぞれ別の場所へ行っていた。

「俺・・・が好きだ・・・。」

「な、何で?何で!?」

「本当はツリーだって二人で来たかったけど、俺が・・・ダメだったんだ。」

「どういうこと?」

「緊張、して・・・ってこと。」

そっか、それで佐藤くんたちが来たんだ。

たちも一緒だと、あたしも安心するから、って感じで。

がずっと怒ってないかな、って心配してたんだけど。」

「怒ってたよ。だけどね、もうわかったからいいや。」

「悪い・・・。」

「ううん、あたしも水野くんが好きだから・・・。」





それからは、結局佐藤くんたちにからかわれてばっかりだった。

でも、水野くんと初めて手を繋いだとき、約束をした。

来年は二人で来ようね、って。