知りたいんだ、君のこと。
君は、自分を閉ざしてしまっている。
自分のこと、一人で抱え込んでしまっている。
一人でかかえこまないでよ。
みんな、いるんだから。俺だって。
信じてほしいんだ、俺のこと。
それに、信じたいんだ、君のこと。
記念日
「おっはよー!ちゃん!」
「……」
ほら、また無視したね。」
「ちゃーん!」
もう一回名前を呼んでみても…君は振り向くだけ。
何も返事をしないし、話すのは、授業とかだけ。
俺とまだまともに喋ったこと、ないよね?
「タクー!」
「うるさいよ、誠二。」
「だって、ちゃんが!」
「さんは、さんでしょ。」
「そうだけどー、やっぱさ、悲しいじゃん?」
これは、本音。
だって、無視されるのって、悲しいし。
それに、俺の好きな子だったりしたら、どうする?
「まぁ、誠二がいいようにすれば?」
「タクのいじわる!」
「うるさいんだって、誠二。」
やっぱタクのいじわる。
チャイムが鳴り始めた。
席に着く。
何も喋ってはくれない、の隣に。
「俺、買い出し当番なんスか?」
「あぁ、頼んだぞ、藤代。」
「でもー…」
「うっさい、バカ代。さっさと行って来い。」
「バカ代じゃないっス!」
そうやって、三上先輩や、キャプテンと話してたとき、ちゃんが校門を出て行くのが見えた。
「行ってきます!」
そう言って、俺は学校を飛び出した。
先輩たちは驚いたみたいだった。
それは、そうだよね。
俺はさっきまで嫌って言ってたし。
俺がちゃんを追いかけ始めてから5分ぐらい。
ちゃんは公園へと入っていった。
そこで、二人の人と話をしていた。
会話…中途半端にしか聞こえないし。
「は…?何言って……?」
「離婚………ね。」
「ふーん。別………いから。」
「あ……ど…する………か…?」
「あたしは、このままでいいの!」
ちゃんの言葉だけが、はっきりと聞こえた。
あの二人は、ちゃんの両親…
ちゃん…
げっ!?
ちゃんこっち来た!
急いで隠れたのに。
「何…してんの?」
「サッカー部の買い出し…」
「に、見えないんだけど?」
「ですねー。」
軽めに返事はしておいたけど…。
やっぱ、俺、最低なことした、よね?
「話…聞いてたよね?」
「一部…。」
「ふーん。」
「怒ってないの?」
「別に。」
その後、ちゃんは俺に全部話してくれた。
こんな形でだったけど、ちゃんがはじめて俺に心を開いてくれたように感じた。
本当は、もっと普通に話して欲しかった。
でも、今日は、俺に心を開いてくれた。
今日はそんな記念日。
次の日。
「ちゃん!おはよっ!」
「…おはよ。」
「!?タクー!!」
「……変なの。」