暑い日の午後、8月。
夏休みまっただ中の今日。
この暑さは・・・耐えられない。
自動販売機
「あっつー」
12時すぎ、お昼休憩時。
陸上部のあたしは、友達と一緒に校内にある自動販売機に冷たいジュースを買いにきていた。
この暑さだと冷たいものがないとやっていけない。
しかも今日はニュースも見てしまった。
今年最高の暑さになるでしょう、ってね。
今日を乗りきればやっていける、ってそんな事は考えていられない。
「、何にするの?あたしもう決めたけど。」
「え、マジ!?もうちょっと待って!」
精一杯悩むジュースの味。
ミルクティー?
カフェオレ?
それとも炭酸?
豊富な種類とたくさんの自動販売機。
迷うのも仕方がないんだよ。
「ー、早く!ご飯食べる時間なくなっちゃうよ。」
「ごめんって。・・・決めた!」
あたしが選んだのは、当たりが出ればもう一本、ってやつ。
結局ミルクティーとカフェオレで悩んだけど、ミルクティーにした。
お金を入れてボタンを押した。
普段あたしはこういうのってめったに当たんないんだ。
だからすごくビックリした。
「よかったね。当たったじゃん。」
「でも2本飲むのってキツいよ。」
カフェオレのボタンを押して、取り出す。
そんな時に声が聞こえた。
「誠二何やってんの。早くしてよ。」
「迷ってんの!」
あの人は噂の・・・サッカー部、藤代誠二。
うちの学校ではサッカーが強くて、その上かっこいい人が多いって噂。
まぁあたしはあんまり興味ないけど。
あ、ちなみに藤代誠二っていうのは、その噂のサッカー部のエースストライカー。
人気があるのも噂になるのもわかる気がする。
「タク、もう決めたから待って!」
藤代誠二と笠井竹巳・・・だったっけ?
あんまりよく知らない。
けど、仲がいいって聞いたことがある気がする。
「あれ?」
ふと視線を藤代誠二に戻す。
お金を入れてボタンを押したのにジュースが出てこない、って感じ?
「タクー、何でジュース出てこないの?」
「知らないよ。」
あ、あの自動販売機ってよく壊れるって噂。
「あのさぁ、その自動販売機よく壊れるから気をつけた方がいいよ。」
気付いたら声かけてたけど、藤代誠二たちもビックリしてたけど、1番ビックリしたのはあたし。
「あ・・・マジで!?ショック。」
「だから、はい。これあげる。カフェオレとミルクティーどっちがすき?」
「・・・カフェオレ。」
「はい。」
手に持っていたカフェオレの缶を手渡す。
缶も汗をかいて、ぬるくなってるかもしれないけど。
「ありがと・・・。ってか何で2本も買ったの?」
「当たったの。」
へぇ、ってあんまり興味なさそうな藤代誠二。
別にいいけどさ。
「あ、じゃオレら行くわ。ありがとな。」
ゆっくり歩いていったけど、それが凄く早かったように思えた。
気付いたらもう視界から消えてた。
あの笑顔は・・・反則でしょ。
もう、やばい。
今日は最高気温とともにあたしのドキドキも人生最高を記録した日であった。