「好きなのに…別れちゃうの?」
「そ。」
I wish it were so.
「浮気とかさ、あるのよ。シゲにも。」
「そう…大変だね。」
帰国子女というレッテルで、いつのまにか『大人っぽい』とイメージづけられた。
5年も向こうに住めば、英語もペラペラになった。
外人は確かに軽かった。
いい意味にも、悪い意味にも。
「。シゲ…って。」
「シゲがどうにかした?」
「金髪、よね?」
「そうでしょ?この前、会ったじゃない。」
金髪は大嫌い。
と言っても、向こうは金髪ばかりだったけれど。
アタシが嫌いなのは…日本人の金髪。
「帰ろー?」
長い廊下をへて、下駄箱へ行けば、見知った金髪。
「!待っとったで!」
「シゲに話すコトなんてもう、ないよ。行こ。」
「待たんかい、。昨日のアレ…ウチの姉貴やね。」
「シゲの嘘つきっ!」
いい音がしたかと思えば、頬の真っ赤なシゲと怒って泣いている。
「バカッ!バカッ!シゲなんかそんな嘘つくヤツじゃないと思ってたっ!そんな言い訳するヤツじゃないと思ってた!」
それを言うなりは飛び出して行った。
「今のはさすがに、シゲが悪いと思うよ。」
「…悪か…」
「あたしに言ってもダメだよ。に言わなきゃ。まだ、追いつくでしょ?」
ホントはシゲが好きだよ。
一言、「好き」って言うだけなのに。
たった、二文字なのに、あたしの精一杯の気持ち。
今、シゲに…「行かないで」って言ったら、じゃなくて…
あたしを選んでくれる?
「俺、のそーゆー気遣ってくれるとことか、好きやで。ほなな!」
片手をあげて走り去る背中は、あたしじゃ追いつけないスピード。
「好き」なんて言い残して…
「バカ…シゲのバカ。」
シゲは、あたしが一人逃げ出したら…
走り出したら、追いかけてきてくれる?
追いついてくれる?
そして一言、「好き」って…言ってくれる?
……なんて、シゲはが好きなのにね。
シゲ…
好きだよ。
「I dislike you…I wish it were so.」
私はあなたが嫌いです…そうだったらいいのに。