いやだなぁ…。

恋人同士になった二人が抱きしめあったり、だなんてあたしには暑苦しくてダメだわ。

ってことで、お預け。

頑張ってね、彼氏になれておめでとう。







イカリソウの花言葉-君を離さない-







「マジで勘弁だってさぁ。抱きしめるのもダメ?って事はキスなんて…」

「聞かなくてもわかるでしょう?」

「はーい。ってかケチ。カップルになったら手繋いで帰りたい、とかキスしたい、とかって思ったりするだろ?女の子って。」

「誰しもそうとは限らないのよ。」

のケチっ!俺ちょっと落ち込んだぜ?」

「いいのよ。これがあたし。嫌だったらいつでも別れて構わないわ。」

そう言うの。そうすれば大抵の子は…

「んな事しねぇって!俺が好きだって言ったのにそんな簡単に別れたら本当に好きじゃなかったみてぇじゃん?誤解されるのって嫌だし。」

普通の子は…こんな事言わないわ。ちょっと信じられなかったわよ、若菜。

「ってわけで、一緒に帰ろ?」

「は?」

「一緒に帰ろう、今日。」

「何でよ。」

「お前は俺の彼女だから。」

「だからって何で一緒に帰らなきゃいけないのよ?」

「俺がそうしたいの。と一緒に帰ったりしたいから。な?」

「…」

負けるわ、若菜。あんた、面白いやつね。

声に出しては言ってあげないけど。

「わかった。帰ろう。」

「マジでっ!?マジ?、なぁ!?」

「うるさいわね。さっさと準備してよ?」

「もちろんだって!じゃぁな!」

若菜は背を向けて走り出した。帰る準備をしに。

「待ってるよ、若菜。」



「何で?」

若菜はいきなりあたしの方に向き直った、と思えばいきなり疑問をぶつけてくる。

「何がよ?」

「質問を質問で返すなよ?」

「あんたこそ?」

「まぁ、いいや。でさ、何で抱きしめるのとかキスとか嫌なわけ?」

「暑苦しいのよ。好きあってるからって、何でそんなことしなくちゃいけないの?一緒にいるだけじゃ足らない?もっと愛情表現が必要なの?」

「いや、俺は別にいいけどさ。一緒にいたらもっと、愛情表現がほしくなって、愛情表現がたくさんになったら抱きしめたり、キスしたりとかしたくなるんだって。だからお試し、ってどうよ?」

「お試し?」

「そ。がそうなるように。俺と一緒にいたらそうなるかもしれねぇって。」

「そういうもん?」

「そういうもん。どよ?」

「わかったわ。試してみる。」

若菜はあたしの言葉に反応して抱きしめてきた。

「ちょっと!?若菜、やめてくれる?」

「いいじゃん!記念、記念!もう離さない。」

「やめてよ、恥ずかしいの。」

若菜はそっと離れていく。

「イカリソウ、って知ってる?」

「知らない。」

「あるんだ、イカリソウってのが。花言葉は…」











「君を離さない」