あたしの夢は
手を繋いで
電車に並んで座って
うたた寝とかしたりして
寝過ごしたりして
いつもよりちょっとだけ平和で幸せな日を過ごす事。
もちろん相手の人はアンタしかいないよ。
だってアンタがあたしの夢だもん。
DREAM IN THE PEACE
「ユン?」
「うわっ、じゃん!久しぶり。」
「ホント久しぶりじゃん!元気してた?」
「元気、元気!ユンも元気そうだね!」
「すごく元気だよ。」
買い物途中、久しぶりに街中で再会したのは小さい頃の友達。
近所の子のいとこで、日本に来ていた頃に仲良くなった。
元は韓国の子だったと思う。
日本に帰ってくるとよく一緒に遊んだりしてた。
「英士は元気?」
「ヨンサとあってないの?」
ヨンサ・・・えっと、英士。
あたしの家の近所の子がこの英士っていう子。
ユンはいつもヨンサって呼んでる。
「英士もなかなか忙しいみたい。」
「そっかー。あ、そうだ!今日ヨンサのうちでバーベキューするけど、来る?」
「バーベキュー?」
小さい頃に英士のうちでよくご馳走になってた、バーベキューは今でもよく覚えてる。
おいしかったな。
「バーベキューかぁ。」
「ね、も行こうよ。」
「あー・・・行きたいんだけどね・・・。」
「何なに!?彼氏とか?」
「や、違うよ。彼氏はいない。」
「・・・ホント?」
「ホ、ホントだけど」
急にユンがまじめな顔したから焦って言葉が出てこなかった。
「どしたの?ユン。」
「あ、ううん。なんでもない。」
「?そ、ならいいけど。」
「今日6時くらいからやるから。来てよ、。」
「6時かぁ・・・。いいよ、行く。」
「ホント!?やった。」
ユンはかわいい。
っていうか男の子にそんな事言っちゃいけないんだけど・・・。
いけないわけじゃないんだけど・・・
「じゃ、またあとでね。」
「あー・・・うん。」
少しの再会で感動したり、嬉しく思えた事に自分でビックリした。
あたしが、英士の家に行けない、理由・・・。
っていうか、行きたくない理由。
ユンには内緒にしてたけど、中2のとき、あたしと英士は付き合っていた。
『ねぇ、英士。』
『何?』
『あたし、英士が好きなんだよね、子供の頃からずっと。』
『・・・じゃあ、付き合う?』
『うん』
今考えれば安易な考えだったわ。
それから付き合ってて、中3になって1ヶ月が経ったころ。
『やっぱり、別れよう、。』
『・・・何で?』
『違った。』
『違う、ってどういうこと?』
『はやっぱり幼なじみだったんだ。ごめん。』
英士とは半年くらいだった。
別れてから会うことに気まずくなった。
しばらく会ってない。
元気にしてるかどうか、少し心配してた。
でも最近の噂で同じクラスの子と付き合ってるって聞いた。
よかった。
けど、複雑な気持ち。
「!」
「ユン?あれ、どっか行ったんじゃなかったの?」
「あー・・・えっと、ちょっとね。」
「ふーん?」
「、一緒に帰ろうよ?」
「ダメ!まだ買い物終わってないの!」
「じゃあ、僕も付いていく。」
「わかった・・・。」
「ユン!ほら、次!次!」
「ちょっと待ってって。。」
ホントはあんまり買い物に誰かと行くって好きじゃないんだ。
でも、ユンとの買い物はすごく楽しい。
英士と行ったときは・・・緊張しすぎてどうしていいかわからなかった。
「ユン早くー!」
「ごめんっ。」
楽しい時間が過ぎた。
あたしの家までは電車で30分くらい。
意外と遠いんだよね。
「ユン、電車乗ろう?」
あたしたちは駅へ行って電車に乗った。
「眠いねー。」
「そう?あたしはあんまり眠くはないよ。」
「僕、すっごい眠い。寝ていい?」
「いいよ。」
少しだけユンは嬉しそうな顔をして、あたしの肩にもたれかかってきた。
「ちょ、ユン。」
「だって、落ち着くんだもん。」
素直でかわいいけど、大胆なんだよね。
周りの人は見てるし。
でも・・・寝顔はすごくかわいい。
そんな寝顔を見てるとあたしまで眠くなってきちゃって・・・結局一緒に寝てた。
「・・・!」
「ん・・・あれ?ユン?」
「たいへんだって!僕たち、終点まで来たみたいだよ?」
「・・・嘘!?」
寝過ごしたの!?
結局あれからあたしも寝ちゃったからだ。
ユンもあたしもおきなかったから・・・。
「ごめん、ユン。あたしも寝ちゃった・・・。」
「いいって!とはもっと長くいれるしね。」
やっぱり、大胆。
「ねぇ、ユン。」
「何?」
「何で手繋ぐの?」
「・・・何で、って・・・。好き、だから。」
「冗談・・・。」
「冗談じゃないよ。」
ユンのあのときとはまた別の真剣な顔。
サッカーをしてるときと同じような・・・真剣な・・・顔。
「でも、ユン・・・。」
「ヨンサと付き合ってたのは知ってたんだ。」
「・・・え?あたし言ってないのに・・・?」
「ヨンサが教えてくれた。僕も小さい頃からが好きだったから・・・。」
ユンの気持ちなんて気付いたことがなかった。
今まであたしは英士に気をとられてた。
「ねー、。僕はが好きだよ。」
「ホントに?」
「うん。」
ユンが優しく微笑んだから、何か今までのことも忘れちゃって・・・。
英士とのつらい別れも、何だか少しだけ、ふっ切れた気がした。
「ねぇユン?」
「何?」
―――――いつもより少しだけ、平和で・・・幸せな日になったよ。