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笑顔がまぶしくて、いつも見ていた。
まぶしくて、まぶしくて、太陽みたいだった。
その太陽が、いつか消えてしまうことはない。
少なくとも、私はそう思う。
太陽が、消えることはない。
だから、その笑顔の太陽も、そうだよね?
あなたへの言葉
「ねぇ、蒼井さん。隣、俺な!よろしくな!」
この前の席替えで、あたしは若菜結人くんの隣の席になった。
いつも、明るくて、いつも、笑っていて、いつも、楽しそうだった。
私はそんな若菜くんが、正直、苦手です…。
だって、若菜くんの周りには、いつも人が集まるから…。
私は、いつでも一人でいた。
だから、人が集まるところは苦手。
これが、克服できるといいな、って思っているのにね。
でも、まだ出来ていない。
「う、うん。宜しくね…。」
そう言うと、若菜くんは、ニッって笑う。
笑顔がまぶしい…。
ちゃんと、男の子とも、女の子とも、普通に話せる日がくればいいなって思う。
「なぁ、お前さ、いっつも本ばっか読んでて面白い?」
ある休み時間の若菜くんの言葉。
私は、急に話しかけられたことで、恥ずかしくなった。
だから、コクンと頷いた。
「なぁ、何の本読んでんの…?」
「これ…」
「あー知ってる!英士が読んでた!」
「英士…?」
「あ、俺さ、サッカーやってるのね。それで、一緒のチームでやってんだ。それに俺、U-14にも、選ばれてるんだぜ!」
「U-14ってさ…」
「「14歳以下の日本代表なんだ(だよね?)」」
「お前、知ってんのー?」
「あ、うん。弟がサッカーやってるから。」
「マジ!?うっわーこれ知ってる人、滅多にいねぇから、妙に嬉しい!!」
若菜くんは、そう言って、再び笑う。
私も、少しは普通に喋れているかな…?
「んでさ、俺もその本読みたいんだけどさぁ、英士が貸してくれなくってね。だから、読み終わったら、貸してくれねぇ?」
私は、返事をするかわりに、コクンと頷く。
「あ、マジで!?サンキューいつでも、いいからな?待ってるし。」
再びコクンと頷く。
若菜くんは、よく笑う。
誰もが、その笑顔に見惚れてしまいそうな…。
その笑顔につられて笑い返してしまいそうな…。
私は、その笑顔にときめいてしまう…。
これは、“恋”というものなのでしょうか?
家に帰って、すぐに、本に手をつける。
でも、本の内容なんか、全然頭に入らない。
若菜くんのことばかりが、頭を埋め尽くしているから…。
「若菜くん…」
若菜君の名前を呟いてみたら、若菜くんの顔が頭に浮かぶ…。
いつまで、考えれば済むのだろうか?
考えても、考えても、何を考えているかさえ、わからない。
それほどにも、考えすぎているのかもしれない。
さぁ、本をちゃっちゃと読み終わろうと思って、再び読み始める。
早く読み終わって、若菜くんのことを考えたいなっと思って、再び本をとる。
昨日、本をなんとか読み終わった。
でも、朝学校に来てみると、若菜くんは、まだ来てなくて、一人だった。
自分の席につくと、誰も座ってはいない、若菜くんの席を眺めてみる。
「好きです…」
誰もいない教室で、誰に向かって言っているのか?
それは、自分の心に聞いてみた。
「ねぇ、誰に言ってんの?」
後から声がする。
振り返ると、窓から半袖のTシャツで覗いている若菜結人の姿があった。
「わ、若菜くん!?」
「おっはよ~蒼井!」
「あ、おはよう。」
「ねぇ、だからさ。誰に言ってるわけ?」
「聞いてたの…?」
「うん!」
「はぁ…」
「うっわーため息つかないでよ!幸せ逃げてくぜー?」
「もう、そんなにないから、逃げてもかわんないよ…」
「そんなことねぇって…」
でも、こんなときが、少しの幸せなのかもしれない…。
「だからさぁ、蒼井誰に向かって言ってたわけ?」
「だ、誰でもないよ!」
「じゃぁ、言わないだろう?」
「そう…かな?」
「そう!」
「まぁ、気にしないでよ?」
なんか、私普通に話せてるよね…?
えへへ。
嬉しいな…。
「なぁ、蒼井!」
「な、何?」
前みたいに戻っちゃったかな?
でも、喋れているだけすごいよ、私。
大きな進歩かも…ね。
「あの本のさ、いい台詞英士に聞いたんだけどさ、教えてあげよ?」
「う、うん。」
って、あれ?台詞ってあったっけ?
「ちょっと、来ぃ。こっちに」
「え?あ、わ、わかった」
そう言って、若菜くんの元へと行く。
「耳かして?」
そう言って、あたしは若菜くんに、耳をかした…。
「 」
「えぇ!?」
耳打ちされた上に、この言葉…。
真っ赤になる…。
「ほ、本当?!」
「おう…」
信じても、いいよね?
でも、そんな台詞あったなんて、覚えてないよ?
この本には、続きがあるのかな?
若菜くんと私の物語…。
本の続きに書き加えよう。
『俺は、蒼井が好きだよ』
って、付け加えよう!
そして、その次には、
『さっき、好きだって言っていたのは、若菜くんのことだよ』
そう言って、付け加えよう。
だって、本当のこと…だもんね!